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寄与分と特別受益
故人へ特別の貢献をした相続人に、より多く認められる利益−「寄与分」
事例 一生懸命、亡き父の看病をしてきたのに、兄弟たちが虫のいい均等相続を主張してきた。
長女のM子さんは一生独身を通して父の看病をしてきました。母はずっと以前に他界。しかし父が亡くなると他の兄弟たちがその遺産について法定相続に則した取り分を主張してきました。父の看病を少しも手伝わなかった身勝手な兄弟たちにも、均等に遺産を分けないといけないのでしょうか?
民法では相続人のうち、故人の生前における財産の維持や増加、あるいは故人の療養看護などの特別の貢献があった者については、遺産分割において、法定相続分によって取得する額を超える遺産を相続できると定めています。ですから、何もしない他の兄弟に代わって父の看病をしていたM子さんの苦労は認められるわけです。
このように、被相続人に寄与をした相続人が得る利益のことを寄与分といいます。寄与分の額については、原則として相続人間の協議によって定められますが、協議がまとまらないときは、寄与をした者が家庭裁判所に対して寄与分を定めてほしいと申し立てできます。
ただし、相続開始の時から10年を経過した後は、原則として寄与分の権利を主張することができなくなりますのでご注意ください。
なお、寄与分は相続人だけに限られ、内縁の夫や妻、亡くなった夫の両親の介護をしてきた妻などには認められていませんが、子供の配偶者のような親族(「特別寄与者」といいます。)であれば、特別寄与料の請求をすることができます。
生前の贈与−「特別受益者」とは
生前に被相続人から受けた贈与を特別受益と呼び、生前贈与を受けた者を特別受益者と言います。特別受益には、次のような事柄が該当します。
・遺言によって相続分とは別に遺贈を受けた者
・結婚や養子縁組のために費用を出してもらった者
・生計の資本として贈与を受けた者−店や会社を設立するために資金を親に出してもらった、特定の子供だけが多額の学費を出してもらった、家を建てる資金を援助してもらった等。
※前記の寄与分と同様、相続開始後10年の期間制限があります。
特別受益者は相続のとき減額される
相続人が何人もいる中で、故人から生前贈与を受けた人と受けなかった人が両方いる場合、これを無視して遺産分割を行っては不公平になり、トラブルの原因にな
りがちです。そこで民法では、現実に残された財産と、生前贈与された財産を合計したものを相続財産とみなしています。ですから、現実に残された財産があったとしても、生前贈与を受けた相続人には何も受け取るものがないという場合もあります。
ただし、被相続人が生前の意思表示や遺言で、以上の特別受益を相続分の計算において考慮しないようにすることもできます。これを「持戻しの免除」といいます。
事例 わけもわからないうちに特別受益証明書に印鑑を押したために、長男が自分だけの名義で登記してしまった。
生前の贈与を受けたことがないのに特別受益証明書を出してしまうと、このように自分が受ける相続分が少なくなったり、全部なくなってしまうだけでなく、自己の相続分を他の相続人に贈与したと認定されてしまいます。わけもわからないうちに安易に判を押してしまった場合は、その行為の無効を裁判等で主張すれば対処できる可能性があります。