司法書士はあなたの大切な財産と権利を守ります

相続の基本

相続する権利がある者とは

遺産を受け継ぐことができる人として、まず法定相続人があげられます。法定相続人とは、法律で定められた相続の権利を有する人で、配偶者と被相続人(亡くなった人)の子(直系卑属)・直系尊属・兄弟姉妹に大きく分けられます。

配偶者相続の基本
配偶者とは婚姻関係にある夫婦の一方のことで、夫にとっては妻、妻にとっては夫を指し、以下の相続人とともに常に相続人になります。配偶者は婚姻届さえ出ていれば、たとえ別居中でも相続権があります。逆に、いくら夫婦のような関係にあっても、婚姻届のない内縁関係の場合は配偶者とは認められず相続人にはなれません。

子(直系卑属)
故人に子がいれば、第1順位で相続人になります。婚姻関係にある男女間の子(嫡出子・ちゃくしゅつし)も、婚姻関係にない男女間の子(非嫡出子)も相続権があります。また、養子も実子と同様に相続人になりますし、さらに養子は実親の相続人にもなります(※特別養子の場合を除く:原則として6歳未満の子を養子とするもので、実親より養親による養育が子の利益になる場合に認められる養子縁組)。
故人よりも前に子が亡くなっていた場合には、孫がその子に代わって相続人になります。この孫のことを代襲相続人といいます。この他、子が生存していても孫が相続人になるときがあります。例えば、子が相続欠格とされたり、相続人から廃除 されたなどの条件にあてはまるときです。

直系尊属
父母、祖父母、曽祖父母などを指します。直系尊属が相続人になれるのは故人に子も孫もいないケースのみです。それらの者の内、故人に親等の近い者が優先的に相続人になります。

兄弟姉妹
故人に子も孫も直系尊属もいない場合、その人の兄弟姉妹が相続権を持ちます。故人よりも前に兄弟姉妹が亡くなっていた場合は、甥姪がその兄弟姉妹に代わって相続人になります。なお、兄弟姉妹に代わって相続人になれるのは、甥姪までです。

以上の法定相続人の他に遺産を受け継ぐことができるのは次の人たちです。

受遺者
遺言によって財産の受取人として指名された者。

特別縁故者
法定相続人にも受遺者にも該当する人がいないとき、家庭裁判所に被相続人と特別の縁故があったことを申し立て、それを認められた者。

相続財産とは

相続の対象となる遺産は、土地建物や預貯金などといった、いわゆるプラスの遺産ばかりではありません。故人の借金などのマイナスの遺産もその対象となるのを忘れてはいけません。もしマイナスの遺産の方が多い場合は、裁判所へ相続放棄の手続きをすることができます。

誰にどれだけの相続分が?

民法では相続人の相続順位と相続分を次のように定めています。

CASE.1 相続人が配偶者と子のケース
配偶者が全遺産の2分の1を、子が2分の1 を相続します。子が複数いるときはこの2分の1を子の人数で均等に分けます。例えば子が3人いれば、子1人あたりの相続分は全遺産の2分の1×3分の1=6分の1になるわけです。配偶者がいなければ(死亡・離婚等)、子のみが全遺産を相続します。

CASE.2 被続人に子がいないケース
配偶者が全遺産の3分の2を、直系尊属が3分の1 を相続します。配偶者がいなければ(死亡・離婚等)、直系尊属が全遺産を相続します。

CASE.3 被続人に子も直系尊属もいないケース
配偶者が全遺産の4分の3を、兄弟姉妹が4分の1 を相続します。兄弟姉妹の相続分は原則として均等に分けます。ただし、父母の一方が異なる場合(異父・異母兄弟)の相続分は、父母を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。配偶者がいなければ(死亡・離婚等)、兄弟姉妹が全遺産を相続します。